［ut］ ページ13
.
ut
赤いカーペット、質の良さそうなテーブルクロス、左右に意味がわからないほど沢山置いてあるカトラリー。右に星空、左にソムリエ。目の前には珍しく整ったスーツの大先生。
何事……？
「いやぁ、たまにはこういうのもええかなって」
頬を緩ませる大先生の事なんて正直どうでもいい。そんな事より気になるのは金だ。
『また女から金騙し取った？』
「え"、もうせえへんってそんな事！」
『じゃあ親？祖父母？』
「してへん！……と思う！」
ちょっと吃っているが慌てているあたり嘘は付いていなさそうだ。嘘をついている時はいたずらがバレた猫みたいな顔するもんね。「知りませんけど？なにか？」みたいな。
では見るからに高そうなこのレストランに私を連れてきた資金はどこから湧き出たと言うのだろう。
「普通に僕の給料だけやけど……」
『ガチで！！？？』
いけない。大きな声を出しすぎて隣の席のマダムがすごい形相で振り返った。
『いつからそんないい子になっちゃったの、うつくん』
「君に出会ったあの日からかな！」
うわ、胡散臭え。
「ね〜、ほんまやって、べつに僕詐欺とかしてへんで？どっかの瓶底メガネと違って誠実やからぁ」
誠実かどうかはさておき、大先生の収入だけでこのお店に来ているのは確かだろう。目の前のコイツは一応国防軍最高司令官。完全にお飾りの司令官だが給料はそれなりのはずだ。
ただ浪費癖のある鬱には難しいのではないかというだけで……鬱が貯金だなんてにわかには信じがたいが。
『どうしてそんなになっちゃったんですか？』
「君との出会いが……僕を変えてくれました！」
髪かき上げたよこの男。うーん、胡散臭い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 198人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
元青磁(プロフ) - 森。さん» ﾜ°……！？あばばばばありがとうございます(；▽；) (4月18日 20時) (
レス) id: d3f69151ea (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - この甘すぎずさっぱりしすぎずの距離感好きです！！！ (4月18日 17時) (レス) @page20 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：元青磁 | 作成日時：2024年4月9日 4時
