【d!】心まで、透明化してよ (ページ31)

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31話※ ページ31

「ごほｯ……」

この戦況はかなり不味い
まだ口が動くショッピ様も体力は有限
あいつらがその油断を取り零してくれる
やわとは思えない

わらわらと蟻の如くあらわれる敵兵に
うんざりする。帰ったら、内通者を
探さなくては。

「っ…」

弾のマガジンに底が見えてきた
そしてもう私の体力もない

そもそも無理なのは分かっていた
こんな袋小路で2人とも無事なんて
夢物語だ

第1、私がいなかったら彼は
とうに息絶えていたかもしれない

盾がなければ、彼の背中は無防備なのだから

でも、これが私の目的だ
彼が元気なのなら生きているのなら
この傷は名誉の勲章になる

だから、…彼らが生きてくれるのなら

私の体なんてくれてやる

そこからの行動は早かった

エイムがズレてきたショッピ様の上に
跨って戸惑う彼の頭を無理やり胸に
押し付ける。敵兵が私がいた足場を
踏み潰し、駆けてきた。

瞬間、我々国特性の手榴弾を
蟻の真ん中に飛ばす。部屋に
閃光の花火が真っ黒に離散した

理解ができない彼の身を私で
おおい爆発の光と衝撃物をとばす

彼が叫んでいたが、構わず抱きしめた
《半年》ぶりに触れた体は、細く
この細さで私の体に口を出せてたんだなって

アドレナリンが笑った。

───

syp「ｯ？！Aさん！？」

俺の上に跨ってきたのはAさん
ピストルを放り投げまさか投降したいのか！？

と馬鹿げていた俺は、気づかんかった
Aさんの左手にはピンが外れた
手榴弾がありそれを空中に投げたこと

そして、半年ぶりに触れた彼女の体は
骨がわかるほど細くガサガサと傷だらけ
だったこと

そして、俺の事を
半年前と同じ

「ショッピくん」と

呼んでくれたこと

syp「ｯ！」
syp「何してるんすか！あんた死にますよ！」

「いいんです！はやく下に下がって！」

syp「おかしいだろ！早くしないと爆発しますから！、」
syp「あんたが死んだら、！」

いつも死ぬくらいの痛み与えてるくせに？

脳裏で誰かが俺を嘲笑う
言葉の波が途切れた瞬間、Aさんは
声を粗げ

「いいんです！それが目的だから！」
「ショッピくん達が生きてくれてるのなら！」

「そうじゃないと、無能になった意味が無い！」

syp「へ、」

どういうこと
ほんまなのか？
無能になった、って？

ぐじゅぐじゅの思考は言葉になる前に
光が乱反射した。

気づけば、

ボロボロの俺

さらにボロボロのAさん

敵の死骸