【d!】心まで、透明化してよ (ページ32)

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32話※ ページ32

車内

syp「Aさんｯ、Aさんｯ！」

目覚めた先にあったのは、地獄。
手榴弾で敵は全滅してくれたが、かわりに

Aさんまでも、その光景に
溶け込んでいた。真っ赤にそまった
任務服。生きていたのは、俺も数人の
敵だけで

こんなふざけた口が叩けるのは
俺だけやった

急いで車内に連れ込み城に戻る
グレーのカーソファが赤黒く染まる
彼女の頭が車の振動で簡単に揺れる

目が、あいてへん

嫌や、嫌や嫌や嫌や

違う、こんなの求めてへん

syp「死んだらあかん、ダメ」
syp「なんで、、あんたが無能になったって」
syp「なんで、なんで」

なんで、俺らを守るために
無能になったんですか、？

声にもならない叫び声を、号哭を
あげる男の隣で彼女は眠ったままやった

───
医務室

sn「え、」

syp「ペ神さん、早くAを！」

sn「あ、うん、」

理解ができないと泣くことも出来ないらしい
血だけではない赤黒い彼女を抱き上げ
軍独自の集中治療室に運ぶ。

君は、無能は嫌いと笑っていたでしょとは
いえなかった。ショッピくんは

泣いていたのだから

ni「ショッピは俺がやる」
sn「頼むわ、」

syp「兄さん、…」

とりあえずペ神さんと兄さんがいるなら
大丈夫や。…でも、無能やからって
傷つけるかもしれへん、それはあかん

syp「兄さん、…あいつを、いじめんといて…」
ni「わかったから」

気を失ったショッピくんを
医務室の奥のベットに連れていき
彼の手当を開始する

でも不思議なことだ。彼女の体に相反して

傷なんて殆どないんだから

…守ったんだな、Aが。

ni「…無能なのか、仲間なのかどっちかにせぇよ」

…死ぬなよ、A。

───
集中治療室

sn「酷いな、ほんま」

意味を成してない服の奥には
血だけでは無い体の液体が染み出していた

…中には、俺らがしてきた傷が

開いたものも、ある。

つまりは、…俺らがAをここまで
したのもある

…

sn「…」

無能やって、コイツは無能や
無能なんや無能だいらないはず

なのに、なんで

こんなにも悲しいのだろう
こんなにも辛いのだろう

俺らは、こいつを死んでも構わんって
言ってたやんけ…

syp「A……」

《大切なものって無くなる恐怖を味わって
初めて気づくんやな》

彼女から石や銃弾を取り除きながら呟いた
…恐らく、彼女は彼の盾になったんだな…