¦ ページ13
▶
だけど、自分の本当の気持ちが何よりもAさんにとっての最適解なのだから、本当の事を話せば良い。少し、深い呼吸を行った後、緊張しながら俺の素直な思いをAさんに伝えた。
「 俺は、結婚を考えています。互いに、そろそろ良い歳だし、交際して7年も経ったので。でも、簡単に出来るとは思っていません。仕事の事もあるし、直ぐにはするつもりないです。ただ、今年中には考えています。 」
自分の中で、マイルドに出来た本当の気持ちに、Aさんは何を思ったのだろうか。あの時、告白を待っていた時の様な緊張感と、落ち着かない自分が居た。きっと、Aさんは俺の様子に気付いているのだけれど、俺の事を窘めない。それは、悪い予感に近い何かがある事を、俺はこの7年間で勉強している。
「 Aさんの、本当の気持ちを知りたいので、何も包み隠さずお話して欲しいです。突然、結婚なんて言われても、吃驚しますよね。すいません。でも、何時かはこの時が来ると思っていました。 」
「 ……私は、結婚するつもりは無いです。 」
正直、用意していなかったAさんの回答に、動揺してしまった。断られる可能性がある事は危惧していたが、まさか、本当に断られるなんて。驚いて何のリアクションもしない俺に、Aさんは続ける。
「 7年も付き合っていて、今更って思われると思うんだけど、もっと早くに言えば良かったね。私は、誰とも結婚するつもりは無いです。だから、トントン君とも結婚するつもりは、ありません。ごめんなさい。 」
7年間、付き合っていたらゴールとなるのは、結婚だと思っていた。何度も言うが、勿論、簡単に捉えている訳ではない。一緒に暮らすとなると、何方かが諦める物が出来てしまうから、そこの折り合いも付ける必要はあるし、結婚の準備だって直ぐに出来る訳じゃない。今年中に考えていると言ったのが、Aさんを追い詰めてしまったのだろうか。別に、焦っている訳ではないから、来年でも再来年でも、何年後でも互いのタイミングと足並みが揃えば、それで結構なのに。
色んな事を言いたいのに、まずはしっかりとショックを受けた自分が居て、何も口から出なかった。普通とか当たり前とか、一般的とか、そう言う決め付けは誰にも通用しない事を、昨今の時代の変化を体感して感じている。だから、Aさんの事も理解したいし、同時に尊重したいとも思った。
▶
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗枝(プロフ) - Sさん» こんばんわ。コメント有難う御座います！此方こそ、応援して下さり、とても嬉しいです☺ 最近、ひとつひとつの作品に掛ける時間が長くなり、更新頻度は絶望的になりましたが、頑張って更新したいと思います。これからも宜しくお願い致します🤝 (7月20日 2時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
S - 続編ありがとうございます🙇♀️これからも応援してます (7月19日 7時) (レス) id: 3cdb4a4830 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
