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今なら、本当の彼女の声が聞けると思ったのだ。
「 可哀想な人だと思います。孤独な中、ひとりで生きて来たから。 」
「 でも、波多には君が居たやろ？ほら、同じ体の中に、ふたつの人格があるんやから。 」
「 難しい事を聞かれても、分からないです。 」
「 じゃあ、質問を変えよう。波多が人を殺したの？それとも、君が人を殺したの？どの事件を、誰が殺したのか、教えてくれへんか。 」
縋る様にしがみつく俺に、彼女は視線をキョロキョロと動かした。そして、周りに怖い顔をした大人が居る事を理解した上で、彼女は言葉を続けた。
「 ふたりで、殺した。 」
俺の溜息が法廷に溶けた。最初から、分かっていた様な事を、彼女に言わせて再確認しただけなのだ。分かっていた。全部、分かっていた。
「 殺した時、どう思った？開放されたと思った？怒られると思った？怖くなった？ 」
これが、最後の質問だ。そう、決めてじっと見詰めた。彼女は少し微笑んで、柔らかい唇を動かす。
「 何とも、思いませんでした。 」
これが、人を殺した時の感想として、100点だ。そもそも、捕まる事が怖いなら、人なんて殺す訳がない。
「 質問に答えてくれて有難う。 」
膝から崩れ落ちそうになりながら、自分の席に戻った。彼女が、死刑と判決された事には、何も驚かなかった。これで、全て終わったのだ。もう、彼女達は苦しむ必要がない。
「 お疲れ様でした。解離性同一性障害は予測出来ていましたが、心神喪失と認められない事は知りませんでした。それでも、弁護側が解離性同一性障害をカードとして出したと言う事は、少しでも刑を軽くする為なんでしょうね。 」
眼鏡の記者は、俺がエレベーターを降りた頃を狙ったのか、扉が開いた瞬間に目が合った。
「 ご挨拶が遅れました。アミカ新聞社のチーノです。 」
名刺を渡されたが、適当にズボンのポケットに入れた。
「 話す事は何も無いですよ。 」
「 先生から何かお話を聞きたい訳ではないんです。ただ、波多は歴史に名前を残しますね。今迄、この様な事件はなかった。 」
「 解離性同一性障害の事件なら、色々あると思いますけどね。 」
「 でも、パフォーマンスとして見られて終わりです。今回も解離性同一性障害は、心神喪失と認められなかったので、そこが大きく話題になるとは思っていません。 」
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紗枝(プロフ) - Sさん» こんばんわ。コメント有難う御座います！此方こそ、応援して下さり、とても嬉しいです☺ 最近、ひとつひとつの作品に掛ける時間が長くなり、更新頻度は絶望的になりましたが、頑張って更新したいと思います。これからも宜しくお願い致します🤝 (7月20日 2時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
S - 続編ありがとうございます🙇♀️これからも応援してます (7月19日 7時) (レス) id: 3cdb4a4830 (このIDを非表示/違反報告)
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