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「 では、何が話題になり、彼が歴史に名前を残すと？ 」
「 ふたりで、殺した。 」
脳味噌が破壊されそうになる。嫌だ。止めてくれ。そんな可哀想な事、誰にも言わせたくない。
「 珍しいですよ。互いの人格を認識して、ふたりで殺したなんて。話題になります。 」
「 汚い商売や。そうやって、人の不幸を好き勝手報道して、適当な事を書くんやから。 」
「 僕の書いた記事、読んだ事あります？有名じゃないけど、嘘は書いていません。偽りは何もない。 」
「 そんなの、何処のメディアだって言う。あんただけに限った事やない。 」
「 先生は、波多の事をどう思っているんですか？身勝手な殺人鬼？それとも、可哀想な虐待サバイバー？ 」
虐待をされた過去がある成人済みの大人を、虐待サバイバーと呼ぶ。虐待から生き抜いた、サバイバー。馬鹿な言葉。そんな言葉で誰を救える？誰を幸せに出来る？
「 波多に起きた事は、可哀想な事やと思う。上手く愛されず、愛されていると自分を洗脳して、悪い大人に利用されて来ただけ。必死にしがみついて、反吐を吐きながら、耐えて来た姿は安易に想像が出来る。だから、Aと言う人格が出来たのも、筋は通ってる。何も可笑しな事はない。 」
「 先生は、今回の裁判を通して、どんな感想を持たれましたか？それだけ、書かせて下さい。何の偽りもなく、書くので。 」
チーノの目は、細くて一重だった。まるで、狐だ。狐に見えた。
「 何も出来ない自分を、恨んだ。 」
「 医者の自分を？それとも、大人である自分を？ 」
「 両方。医者になっても、救えない人間は山程居る。それを、実感した。 」
「 有難う御座いました。お気を付けて。 」
あの後、チーノがインタビューをした女達の記事を読んだ。何も出来なかった人間が、のうのうとインタビューを受けている事が、何よりも怖かった。確かに、何処かのタイミングで救えた筈なのに、誰も手を差し伸べなかったのは何故だろう。
大人になっても分からない事は山程あると、昔の自分に言ってあげたい。そして、大人になれば真相が明らかになったとしても、誰も幸せになれない事を、昔の自分に教えてあげたい。
「 これが、全ての真相だ。 」
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紗枝(プロフ) - Sさん» こんばんわ。コメント有難う御座います！此方こそ、応援して下さり、とても嬉しいです☺ 最近、ひとつひとつの作品に掛ける時間が長くなり、更新頻度は絶望的になりましたが、頑張って更新したいと思います。これからも宜しくお願い致します🤝 (7月20日 2時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
S - 続編ありがとうございます🙇♀️これからも応援してます (7月19日 7時) (レス) id: 3cdb4a4830 (このIDを非表示/違反報告)
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