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「 元気にしてた？ 」
私が座ったのに、何も話さず、お茶のひとつも出さない彼に、歩み寄るのは何時も私。歳は随分と離れているのに、精神年齢は私以下。
「 そっちは？ 」
「 質問に質問で返さないでよ。元気にしてるけど。 」
「 俺も元気。 」
「 食べてるの？ちゃんと。 」
「 そっちは？ 」
「 だから……食べてるよ。 」
「 俺も食べてる。 」
会話として成立していないが、別に良い。もう、嫌われる事を怖がったりしない。愛される事に、満足もしたりしない。
「 明日、仕事？ 」
「 そうだけど。 」
「 送ってこうか。 」
「 どうやって？ 」
「 泊まってけよ。 」
「 どうして？ 」
何も期待していない。何も起こらない。彼がどんな顔で私を見るのか。どんな熱を帯びた瞳で、私を捉えるのか。全部知っている。体温から、言葉迄。軽率に家に来た私が、馬鹿だった。
「 俺、優里が居らんと何も出来んわ。宝石の処分の仕方も分からんし。家の掃除だって、出来ひんし。 」
彼が弱音を吐くのは珍しく、弱っているのかと心配になった。
「 ゴミ出しの時間は、毎回逃すし。 」
「 夜勤が多いから、仕方ないでしょ。 」
「 料理は勿論、出来ひんからカップラーメンばっかり食ってるし。 」
「 それも、仕事の時間に左右されるから仕方ないよ。 」
「 俺には何も無いし。 」
「 車と医師免許と、仲間は居るでしょ。あなたが何をしても、許してくれる仏みたいな仲間達が。 」
そもそも、どうして別れたのか。
結婚の価値観の違いだった。家庭環境的に、結婚に対する不安が多い彼と、一般的な幸せを掴みたい私とは、合わなかった。どれだけ長く付き合っていても、結婚と言う目的で離れる事を決意する事も、別に変では無い。寧ろ、互いが譲らず、妥協しなかったからこうなったのであって、それはカップルとして100点なのかもしれないと思っている。
だから、私達はもう一度一緒になっても、何も生まれない。私達は何も、変わっていないから。
「 優里は、今、恋愛してんの？ 」
「 してないよ。 」
「 結婚したいの？ 」
この質問で、全部が終わった。呆気なく、数年が消えた。嫌いな質問。でも、私は自分を曲げる程、弱くない。
「 結婚したいよ。 」
私達は変わっていない。だから、あなたの考える事も変わっていない。
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紗枝(プロフ) - Sさん» こんばんわ。コメント有難う御座います！此方こそ、応援して下さり、とても嬉しいです☺ 最近、ひとつひとつの作品に掛ける時間が長くなり、更新頻度は絶望的になりましたが、頑張って更新したいと思います。これからも宜しくお願い致します🤝 (7月20日 2時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
S - 続編ありがとうございます🙇♀️これからも応援してます (7月19日 7時) (レス) id: 3cdb4a4830 (このIDを非表示/違反報告)
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