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傷付く前に、帰れば良かった。私は、この人に弱い。
「 ゾムの結婚を聞いて、イメージ変わった。ふたりは、普通のカップルで、色んな事が起きても、ずっと一緒に居た。優里が色々と手を貸したのも、知ってる。 」
確かに、あのふたりは順調だ。色んな災難に見舞われたのは事実だが、幸せそうにやっているのでOK。
「 羨ましいと思った。俺も、優里とあんな風に出来てたら、良かったんやろうなって。 」
彼の口から出て来た言葉に、私は動揺する。彼の中で何が起きているのだろう。何が変わったのだろう。どうして、変われたのだろう。
「 捨てるんじゃないの？サンタマリアアクアマリン。 」
「 高いんやから、捨てれんやろ。そう簡単に。売った方がええし。 」
「 あなたが捨てるって言うから、来たんだけど？売るの？売るなら自分でやりなよ。 」
「 売り方も分からんよ。 」
「 調べたら分かるでしょ。私、帰るよ。あなたと、そんな話をしに来た訳じゃないから。 」
荷物を持って、ソファーから立ち上がり、玄関に向かった。彼が動かず、じっとしているのを視界の端に捉える。
「 あなた。 」
変わってない。私達は何も、変わってない。
「 やっぱり、送って行っててくれる？明日、職場に。 」
視界の端で、此方を向く彼と目が合った。仔犬の様な顔をすれば、私がどんな行動をするのか分かっているのだろう。玄関迄来てしまったが、ソファーに荷物を放り投げ、キッチンに向かう。
「 何か食べる？ 」
私の言葉に、何も変わってない人は言う。
「 冷蔵庫、何も無いけど。 」
変わってない。私達は、何も。別れても。離れていても。互いが一緒に居た時間と同じ事を、繰り返してしまう。
「 買いに行くか。 」
変わっていないと言う事は、忘れていないと言う事。私に抱いていた感情も、私が抱いていた感情も、忘れていない。
「 車出して。 」
「 面倒臭い。駐車場停めたんやぞ？歩いて行くで。ほら。 」
その大きな手が、私をどうやって愛してくれていたかも、覚えている。忘れられない。忘れる予定もなかった。サンタマリアアクアマリンの処分は、当分先になるかも。
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紗枝(プロフ) - Sさん» こんばんわ。コメント有難う御座います！此方こそ、応援して下さり、とても嬉しいです☺ 最近、ひとつひとつの作品に掛ける時間が長くなり、更新頻度は絶望的になりましたが、頑張って更新したいと思います。これからも宜しくお願い致します🤝 (7月20日 2時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
S - 続編ありがとうございます🙇♀️これからも応援してます (7月19日 7時) (レス) id: 3cdb4a4830 (このIDを非表示/違反報告)
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