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「 断る理由、ないからな。もう直ぐ上がりやねんけど、そっちは？仕事抜け出して来た？ 」
確かに仕事を抜け出して来たのは事実だが、この後、職場に戻るのは話が違う。山積みになっている仕事があるが、明日、早くに出社して片付ければ良いだろう。
「 上司に連絡だけします。 」
「 分かった、じゃあちょっと待ってて。直ぐに終わるから。 」
手続きを終え、上司にご機嫌でメールを送り、待合室で待っていると、制服から私服に変身したロボロ先輩が此方に駆け足でやって来た。あの時、ロボロ先輩の背中を追い掛けていたのに、止める事が出来なかった自分に言ってあげたい。今、ロボロ先輩は私の事をただの後輩だと認識したままでも、私の元に駆け足でやって来てくれる様になったのだと。
「 ロボロ先輩、お酒飲むんですか？ 」
「 結構、好きなんよね。そっちは？ 」
「 あまり飲まないです。好きなんですけど、飲むとずっと呑んじゃうので。終わり時がなくて。 」
「 強いんやな。俺も、週末はひとりで晩酌してる。 」
ロボロ先輩のお勧めの居酒屋の暖簾をふたりで潜り、ロボロ先輩の甘い柔軟剤に香りに鼻が喜ぶ。カウンター席ではなく、テーブル席を選んでくれるのも、ロボロ先輩の優しさが詰まっていた。数十年振りの再会な上、最後の思い出はふたりにとって苦い思い出として共通認識の筈だ。それなのに、気まずさを感じさせない様にロボロ先輩が気を使って立ち振る舞ってくれるから、私はすっかり高校時代の恋心の支配者にメロメロになっているのである。
「 ロボロ先輩、ひとり暮らしですか？ 」
「 大学入ってから、ずっとそうやで。 」
「 休みの日は何してるんですか？ 」
「 アニメ観たり、友達と飲んだりしてるかな。大学の時の友達と、今も繋がってるんよね。腐り縁ってやつ。 」
昔、下らない話を山程して、話した内容を忘れない様に、日記に書いていたのを思い出した。ロボロ先輩の温かい笑顔を見ていると、高校時代、早起きして髪型をセットしたり、背伸びをしてメイクをしたり、目立ちたくてスカートを短くしていたのを思い出す。どれも、私にとっては宝物の様な記憶だが、ロボロ先輩の記憶の中に、私はどれ位、刻まれているのだろうか。
どのタイミングで勝負に出ようかと様子を伺っていると、ロボロ先輩は甘い唇を動かした。
「 付き合ってる人とか居るん？ 」
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紗枝(プロフ) - Sさん» こんばんわ。コメント有難う御座います！此方こそ、応援して下さり、とても嬉しいです☺ 最近、ひとつひとつの作品に掛ける時間が長くなり、更新頻度は絶望的になりましたが、頑張って更新したいと思います。これからも宜しくお願い致します🤝 (7月20日 2時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
S - 続編ありがとうございます🙇♀️これからも応援してます (7月19日 7時) (レス) id: 3cdb4a4830 (このIDを非表示/違反報告)
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